「いい寿司をにぎるのが職人の仕事。
寿司に醤油をつけるのはお客様の仕事。
だから醤油は寿司屋の大事な相棒なんです。」
こう語るのは『金沢港 福寿し』店主の服部さん。
加賀百万石の台所を支える金沢港は全国有数の寿司激戦区だ。
『金沢港 福寿し』が、味にうるさい地元っ子や観光客に選ばれ続けている味の秘訣とはなんだろうか。
服部さんに話をうかがった。
「金沢港 福寿し」店主 服部さん
店主:
一言で言えば、『相棒』ですね。寿司を食べるとき、しょうゆをつけない人なんていないでしょ。だから「寿司の味」というのは、厳密にいえば「寿司にしょうゆをつけた味」ということになります。
でも、寿司にしょうゆをつけるのは、職人じゃなくて食べる人、つまりお客様の仕事です。かといって丹精こめて握った寿司だからと、店にしょうゆのつけ方をアレコレ指図されたらきゅうくつでしょ。お客様に自由に食事を楽しんでいただくためにも、しょうゆ選びは大切ですね。変な言い方ですけど「コイツなら間違いない」って、安心して任せられるしょうゆじゃないと、店には置けません。
店主:
新鮮な海の幸というのは、味が濃い。特に、地物定番のブリ・甘エビ・のどぐろ・白子といったネタは、びっくりするほど甘味が強い食材です。
しょっぱいしょうゆでは、せっかくの甘味が死んでしまう。反対に、味の弱いしょうゆでは食材に負けてしまってつまらない。鍋喜さんの旨口上級醤油は、舌にツンと来るしょっぱさがないから、寿司の邪魔にならず魚介の生臭みを上手に包んでくれます。
口から鼻にフワッと抜ける香りもいい。酢飯との相性もよく、食欲をそそりますね。
それに、名前のとおり『うまみ』が豊かだから、寿司だけでなく、特に煮魚にも欠かせない。とにかくウマイおしょうゆです。
店主:
たとえば、こんな事がよくあります。
関東のお客様は、最初関東風の醤油で寿司を求められるんですが、とにかく店の醤油で先ず召し上がっていただくと、ほとんどの方に納得していただけるんですよ。最後には、この醤油の蔵元を聞かれて買っていかれる方もよくいらっしゃいます。
- お忙しいなか貴重なお話を聞かせていただきありがとうございました。
これからも旨いお寿司・お料理を楽しみにしています。